■大衆演劇って?

大衆演劇の定義

「大衆演劇」とは読んで字のごとく、大衆のための庶民的な演劇のこと。ただしその定義はあいまいで、辞書によっては「軽演劇・レビュー・ミュージカルなど、大衆を観客の対象とする娯楽本位の演劇」という広範囲な解釈もあるが、『演劇グラフ』『演劇グラフNET』においては、次のような演劇を「大衆演劇」と定義している。 「全国各地にある比較的小規模の劇場またはセンター(健康ランド・ホテルなど)で、観客がわかりやすく楽しめる内容の芝居をすること。観客と舞台上の役者との距離が近く、一体感があること。また歌舞伎や通常の商業演劇と比較して、安い料金で観劇できること」


演劇的位置 (歌舞伎との比較)
歌舞伎の中でも、自前の劇場を持つのが「大(おお)歌舞伎」、そこで行われる芝居は「大芝居」と呼ばれ、伝統と格式を重んじている。 大衆演劇は、「中歌舞伎」あるいは「小(こ)芝居の一種」と位置づけられている。比較的小規模の劇場で、観客と舞台上の役者との距離が小さく(一方通行ではない)、一体感がある。料金も低く設定し、観客がわかりやすく楽しめる芝居をしている。

大衆演劇の特徴

芝居の人情劇・剣劇(時代劇が中心) 歌謡・舞踊ショーの役者が一人ずつ、または何人か組になり、音楽に合わせて踊ったり歌ったりする。 現在行われている大衆演劇の公演は、ほとんどが「芝居」と「ショー」の2部構成となっている。 送り出しの公演終了後、劇団の座員が総出で、観客を見送る慣例。 「お花」とは、観客がひいきの役者に対して、舞台で現金やプレゼントを渡す慣習。「ご祝儀」とも言う。

劇団

現在、『演劇グラフ』が把握している劇団の数は全国で100余り。古くは1世紀近くの歴史がある由緒正しい劇団から、つい最近旗揚げ(創立)したところまであり、劇団の規模も少ないところでは数名から、多いところでは数十名の座員を擁している。基本的には世襲制で、座長が代替わりしているところが多いが、座長の息子や親戚が独立して新たな劇団を旗揚げする場合もある。最近では急速に世代交代が進み、20〜30代の座長が多くなってきている。

公演場所

大衆演劇の公演場所は、「劇場」と「センター」に大別される。 劇場の主に全国の主要都市にあり、大衆演劇を専門に公演する常打ちの芝居小屋のこと。 現在、『演劇グラフ』『演劇グラフNET』で確認できている大衆演劇のための劇場は全国で計42か所。内訳は栃木1、東京2、神奈川2、新潟2、石川2、長野1、静岡1、岐阜1、愛知1、奈良3、大阪12、和歌山3、兵庫3、岡山1、広島1、香川1、愛媛1、大分1、福岡2、熊本1、宮崎1となっている。 センターで大衆演劇を上演する施設のうち、健康ランド・ホテル・旅館など、劇場以外の場所のこと。ほとんどの劇場が一日2回公演であるのに対し、センターは昼のみ公演というところも多い。またセンターによっては、芝居は昼の部のみで、夜はショーのみという所もあるので、観劇の際には電話での確認をお忘れなく。

舞台(公演内容)

[通常公演]
劇場=1日2回公演(まれに1日1回公演の劇場もある)。基本的には「ミニショー」「芝居」「歌謡・舞踊ショー」の3部構成。1公演は約3時間程度。 センター=1日1〜2回公演。構成は「芝居」「歌謡・舞踊ショー」の2部構成だが、夜は「歌謡・舞踊ショー」のみというところもある。1公演は2時間程度。 芝居は大体3日ごとに演目が変わる(劇団によって、また時期によって異なる)。昼の部と夜の部では、演目は異なる場合が多い。


[特別公演]
各劇団の座長が集って公演する「座長大会」、各劇団の若手が集う「若手大会」、仲のよい複数の劇団による「合同公演」、新たに座長となって初めての公演である「座長襲名披露公演」などがある。他に「正月公演」など、毎年特定の時期に開催する特別公演もある。