■か行


・ 書割【かきわり】
大道具用語で、建物・風景などを描いた背景のこと。

・ 楽屋【がくや】
劇場やセンターで、出演者が準備・休息をする支度部屋。もちろん関係者以外は入れない。役者さんたちは化粧をしたり衣装を身につけたりする際は真剣そのものだが、それ以外はゲームをしたり本を読んだりしてくつろいでいることも多い。劇団員全員が一日の大半を舞台と楽屋で過ごすので、自然と家族的なつながりになってゆく。座長の子供たちなどは、文字通り「楽屋で育つ」わけで、化粧や衣装の着方なども自然と覚えてゆくのである。

・ 陰腹【かげばら】
あえて不義理を為(な)すとき、自らへのけじめに、あらかじめ腹を突き、それを押し隠して場に臨むこと。武士物のお芝居によく出てくる。

・ 貸元【かしもと】
やくざの親分。元は金を融通する賭場(とば)の親分を指していたが、転じて博打(ばくち)打ちの親分、つまりやくざの親分となった。

・ 仇役【かたきやく】
主人公と敵対する悪役。「敵役」とも書く。

・ 歌舞伎【かぶき】
江戸時代に大成した日本の代表的演劇。慶長(1596-1615)頃の阿国(おくに)歌舞伎に始まり、若衆歌舞伎を経て元禄期(1688-1704)に劇的要素を主とする演劇に発展した。女優の代わりに女形(男性)を使い、舞踊劇・音楽劇などの要素をも含む。大衆演劇も歌舞伎から派生したものだが、その経緯は複雑に入り組んでいるので、また機会を改めてご紹介させていただきたい。

・ 貨幣【かへい】
時代背景によって異なるが、江戸時代、小判大判の単位は、16朱=4分=1両である。価値としては「1両盗れば島送り、5両盗れば打ち首」という決まり文句がある。ちなみに夜泣きそばは一杯15文だったという。貨幣の種類と価値は以下の通り。一文(もん)=江戸時代の通貨の最小単位。一朱(しゅ)=二百五十文。一分(ぶ)=四朱=千文。一両(りょう)=四分=十六朱=四千文。(→「貫」)

・ 上手【かみて】
客席から舞台に向かって右手。東側ともいう。基本的に、芝居中のかけ合いでは、立場や身分が上の役が上手で演ずることになる。

・ 貫【かん】
(1)重さの単位。時代によって違いがあるが、メートル条約加入後、1891年(明治24)に15キログラムを四貫(一貫=3.75キログラム)と定め、尺貫法の基本単位の一つとした。一貫=一〇〇〇匁(もんめ)。貫目。
(2)お金を数える単位。貫文。一貫=4朱=一〇〇〇文。ただし、江戸時代には実際は960文を、明治時代には10銭のことを言った。(→「貨幣」)
(3)中世以後、田地に用いた単位。田地の収穫高を銭に換算して表したもので、面積は一定でない。武家の知行高(石高)は、これを用いて示した。

・ 看板役者【かんばんやくしゃ】
読んで字のごとく、劇団を背負って立つ看板的存在の役者。座長である場合が多いが、劇団によっては副座長、二代目座長、花形などが看板役者の場合もある。また大人数の劇団では、複数の看板役者がいることも。役職ではなく、一座でもっとも人気のある役者という意味。




・ 気っ張り【きっぱり】
見得(みえ=劇的感情が高まったとき、俳優が、一時その動きを静止してにらむようにポーズをとること。歌舞伎でよく見られる)と同義。「気っ張る」といえば、見得を

・ 木戸【きど】
(1)劇場の入り口。観劇料を払う受付。木戸銭(きどせん)とは、劇場の入場料金のこと。
(2)大道具で、屋内と屋外、庭と通りなどをはっきり分けるための戸のこと。通常は客席から木戸の裏手の役者が見えるように、格子戸となっている。

・ 侠客【きょうかく】
昔のやくざ。任侠(弱い者を助け、強い者をくじき、義のためには命を惜しまないという気風。男気) を守って渡世(とせい)する人々。町奴(まちやっこ)・博徒(ばくと)などをいう。「男伊達(おとこだて)」「渡世人」と同じ。

・ 狂言【きょうげん】
お芝居の演目のこと。歌舞伎で演目のことを狂言と呼ぶことから来ている。お芝居が2本立ての場合は、最初の出し物を「前狂言」、後のメインの出し物を「切狂言」という。「外題」と同じ意味。(→「外題」)

・ 兇状(凶状)【きょうじょう】
犯罪のこと。芝居では人殺しであることが多い。「凶状持(ち)」とは凶悪犯、また凶悪犯罪の前科者や逃亡犯。また 「凶状旅」とは、時効まで旅に出て逃げることで、「凶状わらじを履く」といえば凶状旅に出ることである。凶状旅の期間はまちまちのようだが、3年3ヶ月が目安であるらしい。

・ 切餅【きりもち】
一分銀100枚、すなわち25両を四角形に紙で包んで封じたもの。形が切餅に似ているので、秘密の取引の際などによく隠喩として使われる。




・ 廓【くるわ】
江戸時代の吉原のような、周囲を囲いで仕切られた、遊女屋が集まっている地帯のことを言う。遊郭。遊里。さと。

・ 暮れ六つ【くれむつ】
江戸時代の時刻法で、日暮れ方の六つ時。季節によって変動するが、おおよそ夕方の6時ごろ。酉(とり)の刻とも言う。また、その時刻に鳴らす鐘を指すこともある。江戸時代は午前0時ごろ(九つ=子の刻)を起点として、約2時間ごとに数を減らして時を勘定していた。町では毎刻に鐘が鳴り、「明け六つ」で町の門を開け、「暮れ六つ」で閉めていたようだ。




・ 景【けい】
芝居の場面の事。場と同義。 「第○景」などと言う。

・ 劇場 【げきじょう】
主に全国の主要都市にあり、大衆演劇を専門に公演する常打ちの芝居小屋のこと。 現在、本誌で確認できている大衆演劇のための劇場は全国で計25か所。内訳は東京4、神奈川2、愛知2、奈良1、大阪6、兵庫1、岡山2、広島1、愛媛1、福岡2、熊本1、宮崎1となっている。もっとも古いのは、昭和5(1930)年開館の三吉演芸場。また福岡県の嘉穂劇場は平成15(2003)年の水害のため休業、現在復旧工事中である(平成15年6月1日現在)。(→「センター」)

・ 劇団幕【げきだんまく】
劇団の名や座長の名が大書きされた飾り幕。舞台間口に合う4m?6mほどの大きさで、ショーの際などに舞台奥や脇に吊る。ほとんどが贔屓(ひいき=ファン)からの贈り物である。

・ 劇中劇【げきちゅうげき】
芝居の中で、芝居をしている場面があること。またはその場面。

・ 化粧 【けしょう】
大衆演劇のトレードマークとも言えるのが、役者さんの白塗り=化粧。「塗ってこそ、飯のタネ」、「どんな舞台でも、化粧の手抜きを覚えたら芸は伸びない」という先達の教えがあるほど重要なもの。役者たちは芸と同時に、それぞれの化粧の個性を競い合うが、座長にどことなく似てしまうことが多く、結果的にそれが一座独特の化粧となっている。また他の劇団の座長や花形に憧れて、似たようなメイクを施すこともある。
化粧の順序は、まず羽二重(はぶたえ=かつらを被る際に、頭に巻く絹地の布)をぎゅっと締めて白粉で地塗りをし、目、眉、鼻、唇などの順に顔を描き上げ、かつらを着ける。慣れている役者さんはわずか数分でこの全行程を済ませてしまう。もちろん、すべて自分で仕上げる。

・ 化粧前【けしょうまえ】
劇場やセンターの楽屋にある化粧台のこと。ただし「化粧台」と言っても、普通の家にあるような独立した鏡台ではなく、楽屋の壁に鏡や電球が据えつけられ、小物を置く台があるという程度のもの。楽屋における個々の役者のテリトリーという意味や、化粧品一式のことを指す場合もある。「化粧する前の素顔」という意味ではない。

・ 外題【げだい】
お客さんに告知する芝居の題名。演目とも言う。原作のある芝居でも、劇団の芸風によって内容が変わるので、内容に則した題名を外題として告知することが多い。

・ 外連【けれん】
軽業的な手法を用いたり、奇抜さを狙った演出・演技。大道具・小道具の仕掛け物や、宙乗り・早変わりなど。奇抜な演技を得意とする役者のことを「外連味のある役者」などと表現することもある。

・ 間【けん】
尺貫法での長さの単位。一間は普通、6尺(ほぼ約182センチ)。田畑や土地を測る場合は6尺5寸(約197センチ)、室内の畳の寸法では6尺3寸(約191センチ)をそれぞれ一間とすることもある。

・ 剣劇【けんげき】
刀で斬り合う場面を興味の中心とする演劇=いわゆるチャンバラ劇のこと。「剣戟」とも表記する。歌舞伎などで流麗な立ち回りとして表現されていたものを、大正8(1919)年、沢田正二郎率いる「新国劇」がリアルで壮絶な斬り合い(殺陣)として見せ、観客から大喝采を浴びたという。また昭和に入ると、股旅姿で剣を振るう「女剣劇」が大流行し、大江美智子・不二洋子・浅香光代、中野弘子などの女剣劇スターをも生んだ。この剣劇が、現在の大衆演劇のルーツのひとつと言われている。明確な勧善懲悪のストーリーを好むファンには、派手な立回りで決着をつける剣劇はうってつけで、大衆演劇の大きな魅力ともなっている。

・ 健康ランド【けんこうらんど】
各種風呂やサウナ、仮眠室やレストラン、宴会場などがある施設で、大衆演劇の公演がひんぱんに行われている。大衆演劇界では、これら健康ランドやホテル・旅館を「センター」と呼び、常打ちの「劇場」と区別している。健康ランドで大衆演劇を観るメリットは、なんと言ってもお風呂に入って、飲食しながらのんびりと観覧できるという点。ほとんどの健康ランドが入館料のみで観られるので、割安感もある。健康ランドによっては、舞台や照明など、劇場に引けを取らない設備を備えているところもある。(→「劇場」)



・ 合【ごう】
尺貫法での容積の単位。一合は一升の1/10で、約0.18リットル。また土地の面積を指すこともあり、その場合の一合は一坪の1/10で、約0.33平方メートル。

・ 口上挨拶【こうじょうあいさつ】
幕間の挨拶のこと。単に「口上」とも言う。主に座長が、観客へのお礼と、翌日の外題の予告(昼の部なら夜の部の予告も)、劇団グッズの販売などを行う。次回の内容がいかに素晴らしいかを簡潔に、しかも面白おかしく聞かせるのがコツ。またお客さんにとっても、役者さんの違った一面を知ることのできる貴重な時間である。

・ 香盤【こうばん】
(1)すべての役者のショーでの演目や、芝居での役を記したもの。プログラム。
(2)観客座席表のこと。

・ こけら落とし【こけらおとし】
劇場が新築・改築をして初めて行う興行のこと。語源は、工事の最後に屋根などの削りくずを払い落としたところから来ている

・ ご祝儀【ごしゅうぎ】
ショーで舞踊や歌の際に、観客が役者に現金を渡す大衆演劇独特の習慣。「お花」と同じ意味。

・ 小道具【こどうぐ】
日本刀、煙草盆、提灯など、舞台で使用する家具・調度品・道具など、こまごました道具のこと。大衆演劇の演目は日替わりのところが多いので、その数も膨大なものとなる。また劇団は毎月、各地の劇場やセンターを移動しながら公演するので、こうした小道具や大道具、衣装やかつらなども細かく分類され、きちんと管理されている。

・ 子役【こやく】
一般的には5〜12歳までの児童俳優を指すが、大衆演劇の場合、おしめもとれていない幼児が舞台に立つことも珍しくない。主に座長の子供が芝居やショーに出演するのだが、その愛らしさゆえに、どこの劇団でも人気者。さらに芝居や踊りがうまければ、座長を脅かすほどの存在ともなる。だが各地を転々とするため、小学生になると就学証明書を持って転校を繰り返し、なかなか友達もできないなどの苦労も味わう。それらを乗り越えてきたのが、現在大活躍している座長の大半なのである。

Copyright (C) 2007 演劇ネット Website. All rights reserved.