■た行


・ 大根役者【だいこんやくしゃ】
演技の拙劣な俳優のこと。芸、興業の「当たり」に対し、大根は食って当ったためしがない。または大根の鈍重、白(素人)の形状から見立てた戯言ともいわれる。

・ 台本【だいほん】
実際に上演に必要な条件、指示などが記入してある脚本のこと。上演に当たって劇の仕組み、舞台装置、せりふ、ト書きなどを完全に記録したもの。通常スタッフ・俳優に手渡されるのはこの形の脚本。ただし大衆演劇の芝居は、台本がない場合のほうが多く、ほとんどが「口立て」と呼ばれる、口移しによる直接指導である。

・ 立女形【たておやま】
劇団の中で最高の地位を占める(つまり一番人気の)女形をいう。もっとも高い地位の女優を指すこともあるが、女形専門(または女形で人気を博している)の男性役者の場合もある。

・ 旅興行【たびこうぎょう】
本拠地を離れ地方を巡回する興業。たんに旅とも、旅芝居、巡業、巡演、地方回りなどともいう。大衆演劇の場合は、ほとんどの劇団が一か月単位で全国各地を巡業する旅興行である。

・ 三枚目【さんまいめ】
こっけいな演技で観客を笑わせる役で、この役が看板の三枚目に揚げられたことから、この呼び名がある。




・ チビ玉【ちびたま】
昭和59(1984)年、当時「若葉劇団」で、女形を演じて人気を博していた子役・白龍光洋(現・嘉島典俊)を、若葉しげる座長(当時)が板東玉三郎にあやかって「チビ玉」と名づけたのが始まりと言われている。当初は「女形を演じる男の子役」という意味だったようだが、その後この名称は男女を問わず、子役一般のこととして広く使われるようになった。

・ 宙乗り【ちゅうのり】
役者の身体を宙に吊り上げ、空中を移動させる演出手法。超現実的、超人間的な表現として使われる。現代では市川猿之助が有名だが、歌舞伎の世界では江戸時代から行われていたもの。かつては大衆演劇でも行われていた、「ケレン」の代表的存在。




・ 津田耕治【つだこうじ】
代表曲に「河内遊侠伝」などがあるクラウンレコード所属の演歌歌手で、キャリア40年を誇る大ベテラン。舞踊ショーでその曲が使われることが多く、座長大会など、大衆演劇の公演時に一緒にリサイタルを行うこともある、大衆演劇には関わりの深い歌手である。また、あまり知られていないが、『最後の博徒』という昭和60(1985)年公開の東映映画に出演したこともある。








・ 戸板【といた】
雨戸に使われている板。捕物(後の項目参照)では盾のように使って、犯人を取り囲んだり、外部からの攻撃を防いだりする。また、けが人や遺体を運ぶ担架の役割もしていたようだ。

・ 戸板返し【といたがえし】
鶴屋南北作の歌舞伎狂言『東海道四谷怪談』における有名な仕掛け場面。大衆演劇でもショーなどでしばしば上演されている。
 お岩と小仏小平(こぼとけこへい)の死体が表裏に打ちつけられた杉の戸板が、砂村隠亡堀に流れ着き、民谷伊右衛門の垂れた釣り糸に掛かる。お岩の死骸が伊右衛門に恨みごとを言い、驚いた伊右衛門が南無阿弥陀仏と念じて戸板を突くと、戸板がバッタリ裏返って小平の死骸が両眼を見開いて「薬を下され」と手を差し出す。お岩と小平は同じ役者が演じており、それが瞬時に替わる仕掛けがこの「戸板返し」なのである。

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